子育ての悩みに役立つペアレンティングのススメ。
子育て世代の悩みといえば、子供との関係性や対処法(子供への声かけなど)についての悩みをあげる親御さんも
多いのではないでしょうか。
「言うことを聞かない」、「子供がキレて怒りっぽい」、「何にも興味を示さない」など
子育てにおいて、悩みはつきません。
また、親自身が感情的になってイライラしたり、怒鳴ってしまったりと悩む親御さんも多いかと思います。
子育ての本は多岐に渡り、子育ては十人十色。
必ずしも答えが本や子育て論にあるわけではありませんが、
親と子供とのコミュニケーションや関係性の作り方、親自身が自分の心との向き合うなど
模索することでその現状を見直す一歩や答えを見出せるものかもしれません。
ペアレンティングとは
ペアレンティングは、子育てにおける親の関わり方のこと。
単に子供の世話をするということではなく、子供への対応方法や子育ての考え方、親自身の感情の向き合い方など
ペアレンティングには多くの概念やアプローチ法があるのも確かです。
例えば、被虐待児の養育者支援プログラムとして米国の児童福祉施設で開発された「コモンセンスペアレンティング」や
子育てにおいて夫婦間だけでなく、生物学的な親でなくても養育責任に関わる人など複数含めて一緒に養育責任を共有する
「コペアレンティング」の考え方もあります。
他にも臨床心理学者のシェファリ・ツバリ博士が提唱する親自身の感情の内省に焦点を当てた
「コンシャス・ペアレンティング」なども最近では目にする様になりました。
今回は、「脳科学と心理学」の視点から子供の脳を発達させるペアレンティングについてその有効性をまとめています。
参考文献:合同出版「子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング 育てにくい子ほどよく伸びる」
子供の脳を発達させるペアレンティング・トレーニング
■脳育てのペアレンティングトレーニングの有効性
脳育てのペアレンティング・トレーニングは「親(または周囲の大人)が子供に与える、脳育ての生活環境」として定義づけられています。
脳科学の理論に置き換えると、「子供の良い育ち=脳の良い発達」という視点から捉えていくことが起点となります。
脳の発達が身体機能や精神性の発達にも大きく関係しており、健全な子供の発達を促す土台となっているのが
生活環境である訳です。
子供の成長に合わせた脳育ての順番やバランスを強くすることで、子供がキレにくくなったり、無気力感からはつらつさを取り戻したり。
また、性格的に神経質な子や不安感が強い子もペアレンティングやポジティブな環境で育てられると、
思春期以降の社会行動や性格傾向が大きく良い方向に変化が見られると学術論文によって示されています。
参考学術論文
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25154427/
■子供の脳を育てるよいペアレンティング
脳育てのペアレンティング(子育て)では、この6つが軸として示されています。
①ブレない生活環境の確立
まずは、土台となる脳幹(生きるための脳)という睡眠や食事・身体活動によって生命維持を図る機能を
鍛えていくこと。
基本的な生活習慣(一定の時間に起床することや睡眠時間の確保、食事の時間など)のルーティン化となります。
睡眠時間の確保が脳を活動的にするセロトニンやコルチゾールの分泌を促し、
また、食事の時間を一定にする(朝に空腹になる様に)と、自律神経の副交感神経が活発に動き消化機能が促され、
自律神経が鍛えられるわけです。
これによりストレスや環境の変化を素早く感知し、体に不快を感じさせない様な反射機能が備わるようになります。
②調和が取れたスムーズなコミュニケーション
1歳ごろから18歳になると、次に大脳新皮質(人間らしさの脳)の成長が著しくなります。
言語や微細運動・思考を司る部分で、知性の機能が発達していく時期。
大人とどんな言葉を交わし合うのかがとても重要になります。
調和が取れるコミュニケーションは、一方的ではなく双方向で誤解の少ないコミュニケーションを指していますが、
イメージさせる表現や話す順番など具体性を持って話すことやこどもの気持ちを一度受け止めて
伝えたいことを伝えるなど、大人自身が話し方に意識を持つことが重要になります。
③親子がお互いを尊重し、協力しあえる体制づくり
家庭環境の中で、このペアレンティング・トレーニングでもっとも重要とされているのが、
「お互いを尊重して協力しあう体制」を家庭内で確立させること。
「社会の仕組み」を家庭という一番身近な共同体の中で、社会性を育むことを学ぶことは
前頭葉を活用した人間らしいスキルを身につける事に繋がります。
子供を「心配」するのではなく、やらせてみて「信用」を増やすことが肝心で、子供の失敗を干渉せず見届ける大人の耐性が求めれれます。
こどもが失敗から学ぶ工程には、どこに失敗があったのかを知る「課題分析」やわかりにくいものを明確化する「構造化」、
また具体的に他社に要望や協力を得るための行動など、こうしたプロセスから社会性や自律性を学んでいきます。
④怒りやストレスへの対処法の共有
ストレスの対処にはいくつかアプローチ方法がありますが、
その一つが、脳が物事の事象をどう捉えるかという「認知」の仕方をポジティブに意識をすることです。
目の前の困難やストレスをポジティブに捉えるのかネガティヴに捉えるかで感情のコントロールができる様になり、
親の認知が子供にも大きく影響していていると言われています。
目の前の困難と思われる事柄も親自身が前向きな対応や捉え方をすると子供もその思考が身についていくわけです。
実はストレスは、脳を交感神経優位にすることから集中力の向上や物事の対処力が格段に上がるなど決して体や脳に悪いものではありません。
ただ、その状況が長期化したらいキャパオーバーになると、ホルモンや自律神経のバランスが崩れ心身に影響をもたらします。
その際に、親としてできることは、ストレスをリリースする対処法をいくつか準備しておくことや
子供をよく観察しておくことが大事になります。
ネガティブ思考の停滞に効果のあるマインドフルネスなど、
何か他の事や五感に集中することで脳の興奮を鎮める様なアプローチも良いとされています。
⑤親子が楽しめるポジティブな家庭の雰囲気作り
こどもの脳の発達で心に関係する前頭葉を育てていくことは、人間らしさを形成していく上で非常に重要になってきます。
この時、ポジティブ(考え方が前向き)脳を作ることが近年の脳科学研究でも証明されつつある重要なポイントと
言われていて、
特に、周りの大人や家庭が笑顔でポジティブに子供に向き合うことは、子供の脳のミラーニューロンに
刺激を与えることで有効と言われています。
また、親自身は、ポジティブな向き合い方に声かけがありますが、子供のよいところ探しや表現を前向きなものに
するというのも勧められていることです。
ミラーニューロンとは:
他社の動作の視覚的な情報が自己の行動が同じニューロン上に表現されるニューロンで、
心の理論やコミュニケーション、社会的行動において高度認知行動の一つとして注目されている。
参考論文:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnns/12/1/12_1_52/_pdf/-char/ja
⑥親はブレない軸を持つ
脳育てによるペアレンティング・トレーニングにおいて、家庭における「生活環境」が一番の土台とされるのは、
保育園や学校や塾・習い事などその他からの刺激は、一時的なものであり変容的であるからとされています。
一貫して子供の成長が見れる家庭だからこそ、親自身がブレずに軸をもつことが重要になります。
いかがでしたでしょうか。
まずは、脳や体の仕組みに焦点を当ててみると、今起こっている家庭内の事象も納得できるところが多かったのではない
でしょうか。
他の誰でもない、親自身が子育てに目を背けず子供に向き合うことが、子供との信頼関係の形成につながるのかもしれません。
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